過呼吸治療;新事実♪
★精神的なプレッシャーや極度のストレスなどをきっかけに、
呼吸が激しくなって倒れてしまう「過呼吸(過換気症候群)」。
最近、女性タレントなどがなったという報道をよく目にしますが、
この症状に悩む人は社会にストレスがまん延しているせいか、増加しています。
実は、過呼吸になった人に私たちがやってしまいがちな「ある応急処置」が
大間違いだということがわかってきました。
なんと、その応急処置が原因で患者さんが死亡してしまう事故も報告されているのです。
過呼吸になると、私たちの体では何が起きているのか?その謎を探っていくと、
本人も周囲の人も知っておくべき正しい対処法が判明!さらに、
死につながる危険な過呼吸を見分ける方法もお伝えします!
★とらえた!過呼吸の症状
過呼吸の症状がどんなものかをとらえるため、ある病院の救急外来に密着取材しました。
運び込まれてくる患者さんは呼吸が速く激しくなっているだけでなく、
あまりの息苦しさに叫び声を上げたり、手を握りしめた状態のまま硬直していたり、
意識不明だったり、病院を出てすぐに再発して再び運び込まれたり・・・かなり重い症状
です。
しかし、どの患者さんも処置を受けて数時間後には症状が治まり、
自分の足で歩いて帰っていきました。
過呼吸は発作時には激しい症状が出ますが、適切な処置をして原因を取り除けば、
病院から歩いて帰ることができるまでに回復するのです。
★あの応急処置が殺人行為!?
では、過呼吸の患者さんを目の前にしたとき、行うべき適切な処置とはどんなものなので
しょうか?
街行く人に実演してもらうと、多くの人が「紙袋を口に当てて呼吸させる」という応急処
置を選びました。
しかし、この方法にはある落とし穴があります。
なんと、この応急処置が原因で死亡事故が起きているというのです。死因は窒息死。
いったいなぜ、窒息してしまうのでしょう?そしてなぜ、
この方法が一般の人に広く知られるようになったのでしょうか?
★意外!過呼吸は○○不足だった!
紙袋を使った応急処置を選んだ人にその理由を聞くと多くの人が「過呼吸は酸素の吸い過
ぎだから
紙袋の中に吐いた自分の息を吸わせて酸素の量を少なくするため」と答えました。しかし
、
これが大間違い! 実は、過呼吸は激しい呼吸を繰り返すうちに
血液中の二酸化炭素が不足してしまう状態。二酸化炭素は体にとって必要不可欠な物質で
、
不足すると頭痛、めまい、手のしびれ、筋肉の硬直などの症状が現われ、
最悪の場合は心肺停止することもあるのです。
この二酸化炭素不足を解消するために、脳の延髄は呼吸そのものを止める命令を出し、
二酸化炭素の放出を食い止めようとします。しかし、私たちの意識を司る大脳皮質は
逆に息苦しさを感じて呼吸を続けようとする・・・これが過呼吸の状態です。
しかし、二酸化炭素不足を解消するためなら、
紙袋を当てて呼吸させる処置は正しいように思えます・・・。
一体、何が間違っているのでしょうか?実はそこに、ある落とし穴が潜んでいたのです。
★落とし穴!気づかないまま酸欠!?
過呼吸に潜む落とし穴とは何かを探るため、水中で息が止められる時間を競うフリーダイ
バーの方に
ご協力いただきました。体の中に過呼吸と同じ状態を作り出す「ハイパーベンチレーショ
ン」
という呼吸法をやってから息止めの時間を計測すると、なんとおよそ1分も長くなりまし
た。
過呼吸状態になると息止めの時間が長くなるのはなぜなのでしょうか?
私たちが息を止めて苦しいと感じるのは、血液中の二酸化炭素が一定の量以上に増えたと
きです。
ハイパーベンチレーションをした後はそもそも血液中の二酸化炭素が少ないため、
苦しいと感じるまでの時間が延びるのです。
しかし、息を止めている間に血液中の酸素はどんどん減っていきます。
つまり、過呼吸状態だと「息苦しい!」と感じる前に酸欠になり、
最悪の場合窒息死してしまう危険があるのです。
★今回のお役立ち情報
〜過呼吸の正しい応急処置法〜次のことに注意して、呼吸のリズムを整えてあげよう!
ゆっくり吐くことを意識することで、二酸化炭素不足を解消できます。
息を吐くことを意識
「吸う:吐く」が1:2になるくらいの割合で呼吸する
1回の呼吸で10秒くらいかけて吐く
(息を吐く前に1〜2秒くらい息を止めるくらいがベター)
胸や背中をゆっくり押して、呼吸をゆっくりするように促す